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価値観採用のススメ

*当記事は弊社スタッフがMyanmar Express様(http://myanmar-express.com/)に寄稿しているHRコラムを再編集したものです。

 

 

前回は、今すぐ始めることができる面談のコツとして、面接前の準備や、「Why Question」、入社後にトレーナーとなるシニア・スタッフを面接プロセスに組み込むことの大切さをお伝えしました。

 

今回は、劇的に定着率が向上した弊社で実際に行っている「価値観採用」についてお話します。

 

 

人材会社を経営する者としてお恥ずかしい話ですが、ミャンマーにやってきた当初の弊社の人材定着率は恐ろしく低いものでした。パートナー企業に元々在籍していた10名以上の社員は全て一年以内に退職し、私がやってきた後に採用した5名の社員も、今は誰一人残っていません。そして、多くの失敗を経て、試行錯誤を繰り返し、ようやく行きついたのが「価値観採用」です。

1年前の今頃と比べ、社員数を約2倍の20名近くに増やしましたが、過去1年以内に雇ったローカル社員は一人も辞めず、この「価値観採用」の効果を実感している所です。

 

さて、「価値観採用」はその名の通り、「組織の価値観に基づいて人材を採用する」ことです。そんなこと当たり前だ、と思われるかもしれませんが、徹底して実践することは非常に難しいものです。「価値観採用」の手法やプロセスに正解はありませんので、参考までに弊社の具体的な事例をお伝えできればと思います。

 

まず、約1年半前に下記に記載したような組織の「文化・価値観」というものを、グループのものとは別に独自にミャンマーで明文化し、オフィスの壁に張り出しました。そして採用面談時に、私自身が1時間以上かけて徹底的に説明し、その反応を確かめて合否を出すようにしています。担当者による一次面接、私が行う二次面接と合わせて、採用に至る候補者の場合は計2~3時間程度、見極めに時間を使っていることになります。

 

ちなみに、弊社の価値観は下記のような内容のものです。

Dream Job Myanmarで働く上で、人として絶対に譲れない価値観。

(Sincere, Open, Share, Thankful, Positive)

 

Dream Job Myanmarで働く上で、ビジネスマンとして常に心がけなければいけない価値観。

(Continuous Effort, Logical Thinking, Open Discussion, Mutual Communication)

 

これら「人として、ビジネスマンとしての価値観」に加え、最後に必ず「お金に対する価値観」を確認するようにしています。このお金に対する価値観が組織の報酬体系にマッチしないことが、多くの場合退職理由の一つに繋がっているとこれまでの失敗で学んだからです。具体的には、まず組織として「報酬に対するスタンス」を明確に打ち出しました。

 

多くの採用プロセスでは、雇用者も被雇用者も「金銭的報酬」に焦点を当てて話をしがちですが、弊社では「金銭的報酬、環境報酬、仲間報酬、学習報酬」と、マネジメントが社員に支払う報酬を定義しなおしました。面談では、利益の一部を金銭的報酬を最大化することはせず、他の3つの報酬に振り分ける旨を明確に伝え、特に「仲間報酬、学習報酬」という考え方に共感できるかどうかを見極めるようにしています。また、この価値観と報酬体系をリンクさせるため、人材紹介業界では当たり前の個人インセンティブを廃し、チーム・インセンティブに改めました。

 

最近、実際に起こった嬉しい事例があります。採用したいと思ったある人材にオファーするものの、より高い給与を提示した他の企業に入社してしまいました。時間をかけてDream Job Myanmarの文化・価値観を説明し、ある程度共感を得ていたと思っていたのでとても残念に思ったものですが、1か月も経たずにこの候補者から電話がかかってきて、「やっぱりDream Job Myanmarで働きたい」と言ってくれたのです。お金に釣られて入社したものの、それ以外の環境や同僚、成長機会といったものの大切さを実感し、戻ってきてくれたのです。

 

まだまだ我慢の時期ではありますが、組織の文化・価値観に共感する人材を集めることで、入社後の定着率は劇的に向上し、社内の雰囲気も非常に良いものになりました。一方で、「優秀だな、仕事ができそうだな、売上あげそうだな」、と思う候補者であっても組織の文化・価値観に共感していない場合は採用しないため、短期的には社員のスキルが不足し、育成に時間がかかるというデメリットがあるのも事実です。組織の文化によっては、弊社とは反対に成果主義志向の「できる社員」ばかりを集めることも「価値観採用」になり得ます。とにもかくにも、まずは自社の文化・価値観を振り返り、マネジメントが社員に対して自信をもって語ることができるようになることが、大きな大きな一歩ではないかと思っています。