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履歴書のチェックポイント

*当記事は弊社スタッフがMyanmar Express様(http://myanmar-express.com/)に寄稿しているHRコラムを再編集したものです。

 

前回は、人材採用における「母集団形成」とそれをどのように行うのか、人材採用に必要な組織のリソースとの関連から考えてきました。

今回は、形成した母集団(応募者)から、履歴書の選考を通じて、どのように面接する候補者を選び出すか、簡単にできるノウハウを三つと、履歴書の嘘を見抜く方法をお伝えいたします。

 

 

ノウハウ①:退職理由

まず第一に、必ず過去の職歴の「退職理由」が記載されているかを確認しましょう。

直接応募の履歴書には記載がないことも多いのですが、人材会社を通じての応募であれば、事前にキャリア・コンサルタントが特に直近の仕事の退職理由をヒアリングしているはずです。退職理由の多くは「より学びたい、より挑戦したい、家族の理由、、、」と具体性に欠ける内容が大半ですが、ここで少しでも具体性のある理由が記載されていれば、それだけでも会ってみる価値がある人材の可能性が高まります。

 

残念ながらミャンマーでは社会の構造的に、物事を深く「なぜ?なぜ?」と問う経験を積まずに社会人になってしまうのが現状です。ですから、退職理由を問うてもフワフワとした漠然とした理由しか返ってこないことが多いのですが、ここでわずかであっても具体的で少しでも納得感のある理由が記載されていれば、自分で考える力、またはその素質を有している可能性が高まります。一方で、ほとんどの人は具体的に話す癖がついていないため、それだけでダメな人材と判断することができないことも事実です。

 

 

ノウハウ②:勤続年数

次に、過去の勤続年数を確認しましょう。

人材採用においてとても大切な考え方に「再現性」というものがあります。

要は「何度か繰り返していることは、今後も繰り返す可能性が高い」と考えることです。この考え方を勤続年数に当てはめると、短期で転職を繰り返している人は、今後も同じことを繰り返す可能性が高いと言えます。

 

一方で、ミャンマーでは正確な統計はありませんが、平均勤続年数は2年に満たない可能性もある社会ですから、日本の感覚で勤続年数を測ることは禁物です。また、倒産や撤退、家族の事情や留学、オフィス移動などやむをえない事情で履歴書上は短期での転職に見えるケースも多くあることには留意が必要です。

 

弊社の基準では1年以内の転職を2~3回以上繰り返している人材、一度も1社で2年以上働いたことがない人材は基本的に面接しません。ただ、20代前半は数か月で最初の1社2社を辞めてしまうことも珍しくないため、若い人材は基準を緩めに、30代はより厳しく、といったように運用しています。しばしば取引先の企業を短期で辞めて弊社に登録にくる人材の中には、過去の経歴からすぐに辞めてしまう可能性は非常に高いことが明らかなのに、なぜこの人材を採用したのだろう、と首をかしげてしまうこともあります。

 

 

ノウハウ③:前職給与と希望給与のギャップ

直接応募の履歴書には記載はないかもしれませんが、人材紹介会社経由であれば、ヒアリングした内容の記載があるはずです。

ここでマーケットとかけ離れた希望額を記載している人材はあまりお勧めできません。もちろんミャンマーでは、優秀な人材は20代でも同年代の3倍以上の給与を得たり、2年で給与が2倍になっても特に不思議ではありませんから、日本の感覚で測ることには慎重になる必要があります。

 

一方で、マーケットや前職の給与からかけ離れた希望を出してくる方、業界や職種を変えて過去の経験を生かせないケースなのに、大幅アップを要求する方は、お金が最大の転職要因であり、今後も給与の不満のみで転職を繰り返す可能性が高まります。賃金水準が低いミャンマーにおいては誰もが給与に不満を抱くものですし、転職理由の大きな要因になることには違いありません。しかし、学びや成長、経験といった他の要因も考えることができる人材かどうかを測る上で、この給与のギャップは一つの指標になります。

反対に考えれば、前職の給与と希望給与のギャップが少ない、または前職よりも低い給与であっても受け入れる、というマインドの人材は、学びや成長、経験といった他の要因も考えることができる人材である可能性が高いとも言えます。

 

 

■履歴書の嘘を見抜く?

日本ではあまり起こらないことですが、ミャンマーでは履歴書に嘘の、または本人は意図していなくても結果的に嘘の情報と捉えられても仕方がないことが記載されることは珍しくありません。候補者が出してくる履歴書は、そのまま信じてしまわない方が無難です。

 

まず第一に、勤務期間があります。ひどいケースですが、昔このようなことがありました。

日本語は堪能な一方、短期での転職を繰り返し、退職理由を常に会社側のせいにするので、これは紹介できないと判断した人材が、ジョブホッパーをとても嫌う会社様に就職していました。履歴書の書き換えです。 短期で辞めたり、長期間の未就業の期間を修正してくる候補者は珍しくありません。中にはこの会社での勤務は記載しないで下さい、と堂々と依頼してくる候補者もいます。また、家族や親族が経営する個人商店をほんの少し手伝っていたことを、さも会社勤めしていたように記載するケースもよくあることです。

 

このようなケースへの見抜き方としては、面談の際にしっかりと詳細のヒアリングをする中で、「話の矛盾点に気づく」ということが大切になってきます。

 

 

続いて、現職または前職の給与についても、注意が必要です。

次の会社でより高い希望給与を納得させるために、嘘の希望給与を申告するケースも実際に起こっています。また、色々な手当やボーナスなどを適当な合算で月給として申告することも少なくありません。

 

このようなケースを防ぐための有効な手段としては、面談時に「給与明細を必ず提出してもらう必要が後ほどありますから、正確に答えて下さいね」と、候補者が回答する前に一言添えておくことをお勧めします。

この一言で悪意がなくても適当に答えて結果的に嘘をついたことになるケースも、多くは防ぐことができます。

 

極端なケースでは、自分で給与明細を作成したと思われるケースもありましたが、雇用者側の印や署名もないので、署名をもらうように依頼をしたところ、音信不通になった、ということもありました。

なかなか全てを見抜くことはできないかもしれませんが、ミャンマーでは特に悪気はない場合や、軽い気持ちで嘘をついてしまうことは少なくありません。そのような回答にならないように、事前に「正確に回答しなければいけないんだ」という意識づけをしてから、質問に入ることを大切にしています。

 

 

最後に、一番やっかいなスキル、資格についてです。

ご存知の通り、ミャンマー人は資格が大好きな国民性です。多くの取得資格や、参加したコース名をずらっと列挙している履歴書を数多く目にします。一方で、残念ながらそれらの情報はほとんど当てにならないというのが実際のところです。嘘ではないが雇用者側からすると、実際には全然できないので、嘘に近いというケースが日常的に起こっています。

 

率直なところ、これらスキルに関しては、特効薬はありません。一つ一つ、業務に大切なスキルに関しては実演も含めて選考時にチェックする、という姿勢で対処するしかありません。一つ例を挙げると、数年前の話ですが、「コンピュータ大学にパソコンが無いので、紙にプログラムを書いて勉強した」という嘘のような本当の話がありました。IT業界の方もそのような事情は百も承知なので、今では入社前に自社でスキルチェックのテストを行うなど、しっかりと対策を講じています。

 

人材会社として言語チェックなども行っていますが、他の基本的なPCスキルチェックなど、より広く、より信頼できるチェック体制が必要とされている中で、なかなか期待にお応えできていないという心苦しさも日々感じています。

 

 

以上、今回は履歴書のチェックポイント、そしてチェック方法について、「結果的に嘘」となってしまいがちなケースも含めて簡単にまとめてみました。ご参考になれば幸いです。