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ミャンマーでの人材採用について

*当記事は弊社スタッフがMyanmar Express様(http://myanmar-express.com/)に寄稿しているHRコラムを再編集したものです。

 

 

皆さん、始めまして。Dream Job Myanmarの田村です。

 

今回から何回かに分けて、ミャンマーでの人材採用における考え方や、コツなどをお伝えしていきます。

初回となる今回は、人材採用における母集団の形成についてです。

 

 

まず最初に、人材採用において大切になる考えに「母集団の形成」というものがあります。

少し堅苦しい言い方ですが、応募意志のある候補者のグループをどうやって作るのか、と考えて下さい。候補者1人から1人を採用すれば、母集団は1人。10人の応募者の中から選ぶ場合、母集団は10人になります。

基本的に、母集団が多ければ多い方が求める人材に出会える可能性は高まります。しかし、やみくもに見当違いの候補者を多く集めても意味がありませんし、選考にかかる負担も大きくなってしまいます。つまり、採用成功の第一歩は、適切なサイズの「良質な母集団」をいかに効率的に形成するか、ということにかかっています。

 

ここで大切なことは、自社で母集団形成から全て行うのか、それとも外部の人材紹介会社を利用するのか、という判断です。

 

人材会社を経営する者としては、紹介サービスを利用するメリットを強調したいところですが、その必要がない場合や、人材会社の介在価値が低くなってしまう場合もあり、採用したい人材像や、企業が持つ採用ノウハウ、人的リソースによっても大きく異なってきます。

 

 

ケース①:母集団形成を自社で行う

まずは、採用における母集団の形成から全てを自社で行うケースを見ていきましょう。

自社で母集団を作る際の一番のリソースは、自社の社員です。信頼のおける自社の社員からの紹介は、古典的ではありますが、優秀な社員を獲得するために今でも世界中で重要視されている手法です。ほんの数年前まで、外資の参入が極めて少なかったミャンマーでは、優秀な人材であっても就職口が非常に少なく、企業側は自社の社員からの紹介によって比較的簡単に人材を獲得できていました。一方で、日系を含む外資企業の急速な進出によって、これまでのような自社社員の紹介だけでは十分な候補者数を確保できなかったり、優秀な人材を採用することが難しくなってきている現状があります。

 

このような環境変化の中において自社で人材の母集団を形成するために効果的なのが、求人メディアの活用です。

求人メディアには、伝統的な紙媒体と急成長中のウェブ媒体の2つがあります。これは日本と変わりませんが、日本ではリクルート社の「タウンワーク」などの紙媒体はほとんどウェブに主戦場を移してしまいましたが、ミャンマーではまだまだ紙媒体が現役で、ある程度の影響力を維持しています。

 

最も有名な媒体としてはタブロイド型の「Opportunity Journal」が挙げられ、日系の「JOB Seekers Journal」という求人雑誌など、他にも複数存在しています。媒体によって広告費は異なりますが、比較的安価に求人広告の掲載ができ、掲載無料という媒体もあります。

 

一方、最近急激に伸びてきているのが、ウェブの求人メディアです。弊社もDream Job Myanmar という自社メディアを運営していますが、Work .comと JobNet Myanmarが二強と言えるでしょう。

 

自社で人材の母集団を形成したい場合は、社員の紹介に加え、紙・ウェブ両方の媒体をターゲット人材に合わせて効果的に活用し、良質な母集団形成を目指すことになります。

 

 

ケース②:母集団形成を外部の人材会社にアウトソースする

反対に、自社での母集団形成を目指さず、この部分を外部の人材会社にアウトソースする方法を説明しましょう。

この手法はシンプルに、人材紹介会社の活用、と言い換えることができます。人材会社は自社のデータベースや外部の求人メディアを効果的に活用し、顧客へのヒアリング に沿う人材を集め母集団を形成した上で、そこからさらに可能性の高い候補者のみを紹介してくれます。しかし、採用にかかる労力を大幅に省くことが可能な一方、自社で母集団形成する場合の求人メディアの利用料よりも多くのコストがかかってしまう点は、デメリットと言えるでしょう。

 

 

 

では、それぞれの手法のメリット、デメリットをより詳しく3つの比較ポイントから説明し、御社にとって最適な採用手法はどのようなものなのかを考えていきたいと思います。

 

 

 

上記二つの手法のメリット・デメリットを考える第一の比較ポイントは、コストと業務量の関係です。コストを考えると当然自社で全ての採用業務を行う方が安く上がりますが、より多くの手間と時間が採用業務にとられることになります。

 

すでに事業拡大の見込みがたち、今後も一定数以上の継続的な採用を見込んでいる場合には、社内で採用業務を行う人事担当を抱え、任せることも考えられます。一方で、大手であってもミャンマー法人は駐在員1名とローカル社員数名の小所帯というケースも多いかと思います。このような場合に全ての採用業務を自社で行おうとすると、ただでさえ忙しい駐在員の方に多くの負荷がかかり、他の業務に支障が出てしまうことも考えられますので、社内で採用業務を吸収できるのかどうか、ここが一つ目のポイントです。

 

 

第二の比較ポイントは、自社とその求人ポジションに訴求力がしっかりとあるのか、また社内に採用ノウハウがあるのか、という点になります。

 

自社で求人媒体を使って募集をかける際には、やはりよりミャンマーの方の間で認知度が高い大手企業に応募が集まりやすい傾向があります。また給与やポジション・タイトルなどの条件も大きな要因となり、魅力的な求人広告を打ち出せないと、せっかく求人広告を出しても応募がほとんどこない、という結果になることもあります。

 

このようなケースを避けるためには、ミャンマーの給与相場への理解や、魅力的な求人広告の作成ノウハウが必要になってきます。例えば、ポジション・タイトル一つで応募数が何倍も変わってくるというケースも珍しくありません。

 

ミャンマーでは採用業務経験者であっても、Opportunity Journalのような伝統的な紙媒体を利用したことはあってもWork.comやJobNet Myanmarなどのウェブ媒体は利用したことがない、そもそもウェブ媒体の使い方自体がわからない、というケースも珍しくありません。

一方で、人材会社に依頼する場合には、相談の上で給与やポジション・タイトルを適切に修正しながら募集を行うことができ、知名度やブランド力がなくとも、キャリア・コンサルタントが直接企業の魅力を伝えることで、応募意欲を高めるという効果が期待できます。よって、自社の求人内容に訴求力があるのかどうか、社内に採用業務を任せることができる人材がいるのか、という2点が重要なポイントになってきます。

 

 

 

最後の比較ポイントは、採用したい人材はどのようなレベルなのか、という点です。結論から言えば、人材会社の介在価値は、新卒やジュニア・レベルであれば低くなり、より高いレベルであれば利用する価値が高まります。

 

 

 

現在のミャンマーの人材市場を俯瞰すると、「人は余っているけど欲しい人材がいない」という状況です。何十年も実質鎖国状態であったミャンマーでは産業が育たず、日系含め外資系企業が求めるような人材は本当に少なく、その少ない人材の獲得に各社がしのぎを削っているというのが現状です。

 

英語(日本語)が話せ、わずかなりとも専門知識と業界経験がある、という人材であっても業界によっては中々見つからないような状況ですが、さらに「マネジメント経験」という条件がつけば見つけ出すことはより困難です。そのような場合には、人材会社に依頼することで探し出すことができる可能性はやはり高まります。

 

一方で「新卒をゼロから育てたい」というような場合には、自社で求人メディアを利用するだけでも十分な数の候補者を集めることは、比較的容易にできます。建設業界のワーカーやジュニア・レベルのエンジニア、IT業界の新卒募集などは、このケースに当てはまることが多いでしょう。よって、求める人材のレベルが、最後のポイントになります。 

 

以上、「コスト - 業務量」、「訴求力 - 採用ノウハウ」、「求人のレベル」と3つのポイントから、自社で採用業務を行うべきか、または人材会社を活用した方がよいのか、という問題について考えてきました。ぜひ皆さまの会社に当てはめて考えてみてください。